私の父は、地元では一番の財産家でした。それも一代で気づいた働き者の父でした。若い頃、父は、実の兄の借金を背負い一日も休まず働き続けました。当初は普通のサラリーマンでしたが、実家がもともと農家だったため、両立できず農家一本にしぼり、働き続けました。
ようやく借金を返済したころ、知り合いにアパート建設をすすめられ、再び借金をして、農家とアパート経営をし、それが軌道に乗ると少しずつ不動産を増やしていきました。最終的には、アパート、戸建て住宅、駐車場、田畑と約6憶の財産を一代で築き上げたのでした。しかし、私は3姉妹のため、跡取り息子として養子をとることになりました。
ところが、跡取りどころか、私や妹が知らないうちに土地を担保に数千万円の借金をし、返済ができなくなりました。父が寝たきりで、意識不明になったのを機に、父になりすまし、次から次へと不動産を売却し、残った現金を自分のものにしていたのです。
それも姉と一緒にです。父が亡くなって、遺産相続の話になると、もともと土地はない。と言い張り、私と妹は、わずか2千万円の現金だけもらうことになりました。父は、世間体を気にして養子をとったのでしょうが、いま思えば、父の代で終わらせたほうが良かったのではないか?本当に残念でなりません。